中村ただしの初心(2) 何をやりたくて政治家を志したか

 前回の記事で申し上げた通り、私が政治家を志したのは、平成24年8月の尖閣諸島と竹島の事件に絶望し、「自分に何かできることはないか」という思いから同9月に維新の会の公募に応募したのがきっかけです。そして、この公募の際には、「維新八策アンケート」という書面への回答を求められました。「このアンケートは候補者選考の資料とは致しませんので、ご自由にご意見下さい」という代物でしたが、私は、当時の政治のあり方にかなりの不満を持っておりましたので、思いのたけをぶつけさせていただきました。

 荒削りな部分があるのは百も承知ですが、「どのようなことをやりたくて政治家を志したか」という私の初心が伝わればという思いで、以下、当時の文章を敢えてそのまま載せておきたいと思います。


Q1. あなたは、統治機構の作り直しについて、どうお考えですか。
  • 大賛成です。憲法改正により抜本的に改革するのがよいと考えます。 国民が最大限の自由を享受できるよう、統治機構は可能な限り小さくすべきであり、その権限も最小化すべきです。とりわけ、国家の肥大した権限に基づく租税・社会保障制度を通じた若者から高齢者、高所得者から低所得者への無節操な再分配を徹底的に改めなければ、日本再生はあり得ません。
  • 道州制の導入にあたっては、国と道州の権限紛争を解決する機関として、憲法裁判所(場合により最高裁の憲法裁判部)の設置が不可欠であると考えます。また、憲法を改正して国と道州の明確な権限分配規定を盛り込むのが本来の姿です。
  • その他、ドイツの連邦制に関する知見からさまざまな提案ができると思います。
Q2. あなたは、日本の教育委員会制度について、どうお考えですか。
  • 当方も中学生時代に共産党系教師による自虐的歴史教育を経験し、日教組の教師による国旗・国歌への侮辱を目の当たりにした一人であり、我が国の教育は徹底的に改革する必要があると考えております。ドイツにおける周囲の留学生が我が国の歴史を知らずに世界史を学び、古文も漢文も碌に読めずにドイツ語を学び、自国の国旗・国歌に敬意を払えない人々であったのは、まさに歪んだ戦後教育の犠牲者としか言いようがありません。
  • 上記のような観点から、我が国と世界のためになる人材の育成のために、教育委員会制度廃止論を含めた維新の会の教育改革に全面的に賛成します。
Q3. 日本の社会保障制度について、どうお考えですか。
  • いわゆるニート・ひきこもりの問題の根本原因は、若者がいくら働いても社会保障制度を通じて高齢者に収奪される(したがって額に汗して働くことは馬鹿らしい)という社会保障構造にあります。ドイツでも、失業保険給付と生活保護を統合して給付水準を引き下げることにより「額に汗して働くことは馬鹿らしい」という構造を改めたところ、構造的失業の問題が解消し、これにより経済が復活しました。我が国においても、社会保障制度は一度根本的に壊して、必要最低限かつ世代間公平なものとすべきです。
  • 無駄に手厚い高齢者保障は徹底的に切り詰める必要がある一方で、本当に必要な社会保障は拡充すべきです。とりわけ子育てに関しては児童手当の充実、学費無料化、保育園の充実等により安心して子どもを産める環境を整えることこそが、日本再生の決め手です。
Q4. あなたは、日本の経済政策について、どうお考えですか。
  • 中国を初めとした新興国の経済的脅威に太刀打ちする先進国の唯一の方策として、EUでは2000年のリスボン戦略、2010年の「欧州2020」戦略により、一貫して新自由主義の経済政策を推し進めています。我が国でも小泉政権下で新自由主義に基づく経済政策が大々的に推し進められましたが、その後の自民党政権や民主党政権の人気取り政策により揺り戻されてしまいました。しかしながら、我が国も一貫した新自由主義により徹底的にリストラクチャリングを進めていかなければ、将来はありません。
  • 我が国では「環境か経済か」、「原発廃止か経済か」という二択論で語られがちですが、EU・ドイツではむしろ環境産業を成長産業として経済成長の主軸に据えていることからも分かる通り、二択論には既得権益擁護の悪意を感じます。
Q5. あなたは、日本の外交・防衛について、どうお考えですか。
  • ひどすぎます。自国の領土をきちんと防衛できていませんし、どこの国の利益を擁護しているのか分からないような政治家や外交官がたくさんいます。自国の領土と国益を守るという根本ができるだけでも、全く変わってくるはずです。
  • 福田政権の中国による尖閣関係紛争海域開発の容認や麻生政権の樺太訪問により、自民党にはまともな外交が無理だと判断しました。河野談話も自民党です。民主党は言うに及ばず、両党には外交・防衛はまったく期待できません。
  • 憲法9条改正と再軍備法制整備が必要であることは言うまでもありませんが、諸外国の憲法のように憲法に自国の領土を明記することは重要であると考えます。
  • 以上の前提が整った上で、近隣諸国との地域経済統合を進めていくことが、我が国の利益に叶います。地域経済統合に関しては、当方のEU法に関する知見が大いに生かせると考えます。
Q6. あなたは、憲法改正について、どうお考えですか。
  • 憲法改正の方法は、無意味に議論が拡散する全面改正ではなく、必要な都度に対象となる条文を順次改正していく部分改正の方法によるべきです。そのためには、まず改正要件のハードルを下げる必要があります。ドイツでは、連邦議会と連邦参議院(州政府の合議体)の各3分の2の賛成で憲法を改正でき、国民投票が必要かは疑問です。但し、要件を緩める場合には歯止めとして国家体制の根本原理(君主制・自由主義・民主制・人権尊重)を改正の限界として規定する必要があると考えます。
  • 国防・領土明記・体制原理明記・憲法裁判所設置・国と道州の権限明記について改正が必要なことは上述の通りですが、ドイツのように政党禁止手続を設けることも必要です。ドイツではこの手続により共産党が禁止されています。

 この思いが認められて公認が決まり、衆院選直前の平成24年12月に開催された公開討論会においても、同じように思いのたけをぶつけさせていただきました。同様に荒削りな部分があるかとは思いますが、当時の憂国の念がストレートに感じられる文章となっておりますので、こちらも敢えて当時の文章をそのまま載せることにいたします。

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