和田政宗先生参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会質問(平成27年8月21日)


和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。

 まず、統合幕僚監部作成の資料についてお聞きします。通告ございませんけれども、軍軍間という用語について取り上げておりますので、これについてお聞きしたいというふうに思いますけれども。

 総理の答弁にもありましたように、ミリタリー・ツー・ミリタリー、国際的には防衛協力において普通に使われる用語で、ミリミリ間とも言われますけれども、これ、直訳してしまったわけですね。これは私は注意を払うべきではなかったかと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(中谷元君) この組織というのは、2プラス2という両大臣、そして防衛局長、シビリアン、そして事務方の下に設けられた制服同士の関係ということで、便宜上ミリタリー・ツー・ミリタリーということで、略語でMMと呼んでおりますが、そういう意味で部内で使ったわけでございますが、ミリタリー・ツー・ミリタリーというようなことは常時、協議のときでも話したりすることはございます。

和田政宗君 国際的に普通に使われる用語でありますけれども、やはり丁寧に、文書でありましたら自衛隊と米軍でありますとか、そういったことが私は必要であったというふうに思っております。

 そして、念のためにお聞きしますけれども、この統合幕僚監部作成の資料ですけれども、閣議決定後、法案成立を前提として部隊の装備を増やしたり訓練のやり方を変えたりしていれば問題になるわけですけれども、まさかそういったことはしていないということでよろしいでしょうか。

国務大臣(中谷元君) 予算におきましては、まだそういったことも決定しておりませんので、全く要求もいたしておりませんし、また、これは通常の我が国の防衛の一環として行うわけでございますので、あくまでも現中期防、そして大綱に基づいて実施をしていくという考えでございます。

和田政宗君 ということであれば、今回の資料は必要な分析、研究の範疇であるのではないかということで現時点では考えることができるというふうに思っております。

 次に、集団的自衛権の考え方についてお聞きします。

 集団的自衛権については、全く何もないところから、昨年、政府解釈により集団的自衛権が生み出されたというような誤解をしている方もいます。しかし、集団的自衛権は我が国が保有することは一貫して政府も認めてきておりまして、昭和四十七年の政府見解によって、行使についてはできないとしたわけです。つまり、キャップをかぶせて制限をしたわけです。それを、昨年、政府解釈の変更によって、キャップを外して行使できるとしたわけで、我が国の防衛のため、過度の制限を外して適正化をしたわけです。

 昭和三十五年三月三十一日の参議院予算委員会において、林修三内閣法制局長官は、集団的自衛権については幅のある解釈があると答弁し、岸総理は、集団的自衛権という内容の最も典型的なものは他国に行ってこれを守るということだが、それに尽きるものではないと答弁しています。

 集団的自衛権には幅のある解釈がある。すなわち、昭和四十七年以前は、他国まで出かけていってその国を一緒に戦闘を行って防衛をする集団的自衛権は認められないけれども、それ以外の集団的自衛権については行使し得るという考え方があったと理解してよろしいでしょうか。

政府特別補佐人(横畠裕介君) 従前の自衛権発動の三要件というのは、自衛隊発足当時から一貫してきたものでございます、昨年七月まででございます。

 御指摘の集団的自衛権という概念につきましては、国連憲章において初めて登場したものでございまして、昭和三十年代におきましては、その内容等につきなお議論があったことから、当時の岸総理の答弁等では、他国の領域に出かけていってその国を守ることをその最も典型的な行為であり憲法上許されないとする一方、他国に対する基地の提供や経済的援助など、実力の行使に当たらないものも集団的自衛権と呼ぶのであれば呼べないこともないという旨を述べたものがあると理解してございます。

 その後、個別的自衛権、集団的自衛権というものは、そのような基地の提供や経済的援助の根拠ではなく、実力の行使に係る概念、すなわち武力を行使する場合の要件、国際法上の違法性阻却事由ということになりますが、そのようなものであると整理され、そのような理解が定着していると理解しております。

和田政宗君 これは法制局の一貫した答弁なんですけれども、これ、基地提供や経済援助が集団的自衛権というならばという前提条件で述べたのにすぎないと言う人もいますけれども、基地提供や経済援助が集団的自衛権に当たるというのは慣習国際法上当たり前のことでして、昭和四十七年以前にはそのような見解を取っているというふうに見られるわけですね。その後、その解釈を変えてきているというふうに私は考えているわけですけれども。

 すなわち、去年の政府解釈の変更も過度な制限を外して以前の考え方に戻ったと言えるわけで、日本国や国際情勢の変化に合わせて、本来できることができなくなっていたものをできるように戻したというふうに考えるべきであるというふうに思います。

 次に、戦後七十年の内閣総理大臣談話についてお聞きします。

 今回の談話は、不戦の誓いを改めて強く述べているとともに、歴史的事実を丁寧に述べている点で評価できます。今回の談話は、これまでの戦後五十年談話や六十年談話で使われてきた、侵略や植民地支配といった定義できない歴史的事実から飛躍した曖昧な用語で安易に片付けるのではなく、歴史的事実に沿った説明が行われています。さらに、「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。」と述べられており、これらの文言が指す女性には、満州、朝鮮、樺太、千島列島などにおいてソ連軍による暴行等、悲惨な体験をした日本人女性が当然含まれるはずだと私は当委員会で政府に問いましたけれども、これに対して官房長官は、戦争の中での全ての女性であると答弁し、当然にそうした日本人女性も含まれるということであり、戦後七十年談話は戦時下で弱い立場に置かれた全ての女性の苦難を忘れてはならないという決意と不戦の誓いを強くしているわけです。

 そして、今日お聞きしたいのは、七十年談話の「いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。」、「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。」という文言についてです。

 この文言について考えた場合、今、中国は、尖閣周辺で繰り返している我が国への領海侵犯に加え、明確な国際法違反である南シナ海の暗礁の埋立てを行って力による変更を続けており、特にウイグルやチベットなどでの民族弾圧、人権弾圧は苛烈なものがあります。平和なデモに対して無差別に発砲、射殺するといったあり得ない民族弾圧が行われているわけです。

 政府は、ウイグルやチベットなどの民族に対する中国政府による弾圧についてどう考え、どう行動していきますか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、中国においても国際社会における普遍的価値である人権及び基本的自由が保障されることが重要と考えておりまして、ウイグル自治区やチベットについても関心を持って人権状況を注視しております。

 中国との間では人権対話等の対話の枠組みもあり、今後も中国に対して様々な機会を捉え、我が国の立場と関心を伝えていきたいと考えております。

和田政宗君 時間が参りましたので。

 すなわち、法の支配を尊重せずに力によって解決しようとする国が近くにあった場合、備えがないと守れないわけですね。昨日は北朝鮮軍による韓国側への砲撃もありました。国民の命を守るために必要な手を打つことは重要であると考えます。

 終わります。

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