杉田水脈先生衆議院本会議質問(平成26年10月31日)


杉田水脈君 次世代の党の杉田水脈です。

 私は、党を代表し、内閣提出の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。(拍手)

 総理は、所信の中で、女性が輝く社会を目指すと力強くおっしゃいましたが、その内容は、待機児童ゼロ、子育て支援員など、今まで少子化対策として行ってきたことを女性施策に焼き直したものばかりでした。

 本法案も、女性の職業生活における活躍にのみスポットを当て、その対象を、みずからの意思によって職業生活を営む女性に限っています。

 全ての女性が輝くために国がやるべきことは、女性らしく生活するための選択肢をふやし、その選択に自信と責任を持てる環境づくりです。が、本法案は逆に、女性の選択肢を狭めて、ライフスタイルを上から押しつけるものです。

 本法案で、女性の職業生活における活躍のみを対象にしたのはなぜか、有村女性活躍担当大臣にお聞きします。

 現在、若い女性の間で、専業主婦を希望する人がふえています。

 民間の調査では、未婚の女性の半数以上が、出産後は専業主婦になりたいと回答しています。二十代の専業主婦希望は五八・五%と、特に多いという結果が出ています。

 また、みずからの意思によって職業生活を営む女性と法案には書かれていますが、実際に地元を回ってお母さん方と話すと、本当は家で子育てに専念したい、でも、収入が少ないので働きに出なければいけないといった声が多く聞かれます。まさに、みずからの意思に反して職業生活を営んでいる女性が多く存在します。

 今月、我が党の平沼党首の代表質問に対し、総理は、家庭で子育てに専念したい方も、子育てと仕事の両立を望む女性も、その希望を実現できるよう、さまざまな支援措置を講じてまいりますとお答えになりましたが、本法案では、この答弁がどのように具現化されているのでしょうか。有村大臣にお聞きいたします。

 平成十五年に制定された次世代育成支援対策推進法、この法律は、十年の時限立法として、それまでの少子化対策の取り組みに加え、男性を含めた働き方の見直しや、社会保障における次世代支援といった柱を掲げています。本法案と同様に、国の指針を設け、それに基づく行動計画の策定を全ての自治体などに義務づけたものです。

 対象を、次世代を担う子供たちとするか、職業生活を営む女性とするかの違いがありますが、自治体や企業が策定する具体的な計画までおりてくると、多くの部分が重なると思われます。

 有村大臣、先の通常国会で、平成三十六年度末まで延長する法改正が行われたこの法律と本法案の違いを、次世代育成支援対策推進法のこれまでの成果、実績とあわせて御説明ください。

 我が国は、昭和六十年に締結した女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に基づき、国連委員会に対し、政治的、社会的、経済的及び文化的活動に女性が男性と平等に参加することに対し、残っている障害を克服するための措置を報告しなければなりません。これは、本法案で自治体や企業に課している女性の採用比率や女性管理職比率などの定量的目標設定といった内容と一致しますが、国連に勧告されたから本法案をつくったのですか。

 この法案と、いわゆる女子差別撤廃条約、そしてそれをもとに策定された男女共同参画基本法との関係をお尋ねします。

 本来、日本は、男女の役割分担をきちんとした上で女性が大切にされ、世界で一番女性が輝いていた国です。女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因します。

 男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想です。女性にしか子供を産むことができない、この当たり前のことに目を背けた政策を続けた結果、男性ばかりか当の女性までが、女性にしか子供が産めないことをネガティブに捉える社会になってしまいました。その結果、ドメスティックバイオレンスが蔓延し、離婚が増加、少子化や子供の貧困の原因となっています。

 次世代の党は、この男女共同参画基本法という悪法を廃止し、それに係る役職、部署を全廃することが、女性が輝く日本を取り戻す第一歩だと考えます。

 総理の著書「美しい国へ」からの抜粋です。最近ジェンダーフリーという概念が登場した、生物学的差異や文化的背景も全て否定するラジカルな考えを包摂する和製英語だ。

 また、以前、ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウムにおいて、総理は、結婚や家族の価値を認めないジェンダーフリーは文化の破壊につながるとも発言していらっしゃいます。

 有村大臣も、以前から総理と同様の発言をしていらっしゃるので、我々と考え方は同じだと思いますが、次世代の党の考え方について、現在の政府の見解をお聞かせください。

 いつから女性は弱者になったのか。国の施策において、やたら主語に女性を持ってくるようになって以来、どんどん女性が弱者として扱われるようになりました。

 女子差別撤廃条約の破棄、男女共同参画基本法の撤廃を行い、男女がお互いに尊重し合える社会を取り戻すことを日本国の皆さんにお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)


国務大臣(有村治子君) 杉田水脈議員の御質問にお答えいたします。

 女性の職業生活における活躍のみを法案の対象とした理由等についてお尋ねをいただきました。

 職場に限らず、地域、家庭など、女性の活躍の場面はさまざまであり、女性が、それぞれの希望に応じ、個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現することが必要です。

 御指摘のあった先般の総理御答弁は、こうした趣旨をおっしゃったのだと認識をしております。

 現在、すべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、安心して子育てや介護をしたい女性、地域で活躍したい女性など、全ての女性が輝く社会づくりに向け、諸施策を推進してまいります。

 その一環として、働く場面での女性の活躍に関し、国、地方公共団体、民間企業の主体的な取り組みを加速するために、本法案を提出いたしました。

 本法案と次世代育成支援対策推進法との違いに関するお尋ねがありました。

 次世代法は、次代の社会を担う子供の育成を図るものでありまして、これまで十年間の取り組みによって、民間企業において両立支援制度の導入、利用が促進されたことや、育児休業取得率が男女ともに上昇するなどの成果が上がっています。

 一方、本法案は、女性の職業生活における活躍を推進するものであり、女性に対する採用、昇進などの機会の積極的な提供と、職業と育児のみならず介護なども含めた家庭生活との両立を定めています。

 それぞれの法律に基づく行動計画は、内容が重なる部分もありますが、女性の採用、育成、登用などに関する取り組みなどは、次世代法の行動計画には記載されていないものでございます。

 本法案と女子差別撤廃条約、男女共同参画基本法との関係に関するお尋ねがございました。

 本法案は、働く場面での女性の活躍推進のための取り組みを加速化させるため、我が国が主体的につくったものであり、女子差別撤廃条約に係る勧告を受けて作成したものではございません。

 また、本法案は、第一条の目的規定で、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとる旨を規定しております。

 男女共同参画の考え方についてお尋ねがありました。

 男女共同参画社会とは、男性、女性ともに、社会のあらゆる分野において活動、参画する機会が確保されて、均等に社会的利益を享受することができ、ともに責任を負うべき社会であり、男女の区別を否定したり、国の伝統文化を否定したりするものではありません。

 いわゆるジェンダーフリーにつきましては、平成十七年に閣議決定した第二次男女共同参画基本計画において、「「ジェンダー・フリー」という用語を使用して、性差を否定したり、男らしさ、女らしさや男女の区別をなくして人間の中性化を目指すこと、また、家族やひな祭り等の伝統文化を否定することは、国民が求める男女共同参画社会とは異なる。」と明記をされており、この見解に変わりはございません。(拍手)

会議録全文