石原慎太郎先生衆議院予算委員会質問(平成26年10月30日)


大島委員長 この際、中田宏君から関連質疑の申し出があります。石原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中田宏君。

中田委員 総理初め関係の大臣の皆さんには、この後の質疑、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、今国会は、割と、安倍政権、安倍総理としては安全運転というふうに当初は言われて、余りある意味では重要な法案も見当たらない、そう言っては失礼ですけれども、見当たらないと評されていましたし、また補正予算も今回はございませんから、そういう意味では平穏無事なのかなというのが大方の見方でありましたけれども、どうも十月の中旬からは、今に至るまで、本当に、政治と金、その他さまざまな問題で審議がおくれる、こういう状態に相なっています。

 私たち次世代の党は、十月の十六日に当時の小渕優子経産大臣がマスコミで報じられて、政治資金の問題ということでかなりいろいろな疑惑が出たその段階から、我々は、国会審議というものはちゃんと進めながら説明を受けていく必要がある、こういうふうにいち早く言い続けてきました。

 具体的には、どういうふうに言ってきたかというと、やはり、政治家が疑義を呈された場合には、政倫審、こういったところできちっと議論をしていくべきだ、みずから説明責任というものを果たしていくべきである、こういうふうに私たちは言ってきたわけでありまして、そういう意味においては、政倫審というものをもっともっと活用しないと、結局、きょうもかなりの時間、やはりそうした疑惑問題に割かれているわけです。

 総理は、きょうの午前の答弁でも、経済政策を初め、政策議論に時間をもっと割いていくべきだ、TPPなどいろいろあるじゃないか、こうおっしゃっていますし、また、総理は、しっかり説明をしていくべきだ、各当該大臣にも指示をしているというふうにもおっしゃっておられます。きょうの午前中ですね。

 まさに、説明はしっかりしていかなければいけない。だけれども、そのことによって審議がどんどんどんどん延びていくということは、単に国会の機能不全を国民に見せるだけではなくて、国民からしても、やはり内憂外患の我が国のさまざまな問題というものを国会はちゃんと解決してよ、こう思っているわけですから、そういう意味においては、説明責任を果たすという意味において、政倫審の場などをもっと活用していくべきだと思うんですね。

 この点、総理、本会議で私どもの党の宮沢議員が聞かせていただきましたけれども、そのときには、唐突な質問だったかもしれません、なかなか十分な答弁を得られたとは思っておりませんので、改めてお聞きをしたいと思います。やはり政倫審の場などをもっと活用していくべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 議員が国民から疑惑を持たれるということがあってはならないわけでありますし、国民の信頼のない政治は機能しないと思います。もちろん、政府の一員である以上、当然、説明責任がございます。各委員会あるいは記者会見等を通じて、しっかりと説明をしていくことが求められているんだろうと思います。

 一方、各議員という立場において、政倫審においてどう対応していくかということは、これはまさに国会においてお決めになっていくことであろう、このように思います。

中田委員 民主党の枝野幹事長の話も出ました。説明はきょうの午前の予算委員会でも御本人からありましたけれども、これは記載ミスであるということで説明がありました。

 私は、民主党にも言いました。国対委員長でありますから民主党にも申し上げまして、民主党も、ここはケアレス、記載ミスであるということは、それはもう国民にしっかり説明すればいいことなんだから、むしろ説明責任を果たすということの範を示してもらいたい。そうすれば、自民党だって、与党だって、そういったことについてしっかりとやっていけるではないか。そう申し上げて、私は、政治倫理審査会、政倫審を民主党も大いに活用するということをやってはいかがかというふうに早速民主党にも申し上げたところでありまして、そういう意味では、これは本当に総理にも、これから先ぜひ活用していただきたいと思うんですね。

 政倫審、設けられてから過去九回、今まで審査がなされております。ほとんど、九回のうちの八回は、本人からの申し出で行われているわけでありまして、加藤紘一君からの申し出、山崎拓君からの申し出、額賀福志郎君から、田中真紀子君から、松浪健四郎君から、原田義昭君から、橋本龍太郎君から、伊藤公介君からの申し出、この八件、今まで設けられてきた審査会であります。審査されているんですね。

 さらに、もう一回、九回開かれたうちの一回は、鳩山由紀夫君に対する審査の申し立てということでありまして、八回は本人の申し出です。一回は申し立てです。これは誰が申し立てたのかというと、自由民主党であります。平成二十一年の七月十四日、政治倫理審査会に対して、自民党が、衆議院政治倫理審査会規程第二条の規定によって審査の申し立てをいたしますということで、鳩山さんがなかなか説明をしないということに対して、自民党が申し立てをして、そして審査会も立てたんです、当時。

 鳩山さんは出ませんでした。だけれども、出ないというこの意思表示は、当然ですけれども、説明責任を果たしたことにはならないわけであって、国民はこのとき大変に失望をし、そしてまた、そのことに対してはやはり国民の判断はそれなりになされたと思いますね。

 そういう意味では、民主党もこれから先そういうふうに対応していくべきだと私が申し上げたことも含めて、やはり自民党、政府、みずからが起こしたこと、大臣がみずからの振る舞いやこれまでの政治資金の問題で審査をおくらせるなどというのは、これは何のための大臣だかわからないわけですよ。

 確かに、国民はこの種の議論を望んではいません、国会において。だけれども、真相を明らかにすることは国民も望んでいます。ですから、しっかりとそうした議論というものは場をわきまえて行うべきであるということを総理の方から、これは任命責任とおっしゃったことに対して、そうした場を、きちっとみずから申し出なさいよということを指揮、指導していくことは、それこそ総理の責任だというふうに私たちは考えています。

 むしろ審議を促していきたいからこそ、次世代の党はそういうことをずっと言い続けているんですね。ぜひ、総理、ここは、今後の推移の中において政倫審を活用するということについて、ぜひ積極的であってほしい。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私は、行政府の長、総理大臣としてここに立っているわけでございます。

 いわば、政倫審は、それぞれが、議員が、ある意味においては、名誉を挽回、回復するために、みずから求めて開催をするというケースが多いわけであります。今御紹介をいただいたように、我が党の議員の場合はおおむねそうであった、このように思います。そういう意味において、政倫審が活用される、あるいは、しっかりと疑惑を晴らせと、国民の声に応えていくという義務の中で応じていくということは、当然あるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、これは議員の身分にもかかわる、名誉にもかかわることでありますから、国会においてしっかりとお決めになる、このように理解をしております。

中田委員 私たちは、申し上げたとおり、実は、大臣が辞任をする以前から、そうした問題について政倫審をもっと活用すべきだというふうに、ずっとメディアにも申し上げてきましたし、自民党の皆さんにも国対を通じて申し上げてまいりました。

 メディアにおいて、私たち次世代の党がそうした主張をしてきたということは、なかなか今までのところ報じられていません。やはり、首をとる、とらないというような方がよっぽどメディアはおもしろいわけでありまして、与党と野党が、ある意味では不毛のけんかをさせておいて、そして、最終的にはどっちもどっちだ、こういうふうにやっていくのがメディアですから、そういう意味では、これはある意味ではメディアだけが喜んでいると言ってもいい。国民、見ている側も辟易しているというところもあるわけです。私たち次世代の党は最初から言っているんです、そういうふうに。

 この意味においては、きょうは、ぜひ、これをごらんの皆さん、国民の皆さんには、私たちはそういうことをずっと言い続けてきたわけであって、これから先、総理が、今答弁にありましたように、行政の長だからこそ言っているんですね。行政の長ということであるならば、みずからが任命した大臣には、そうした任命責任において、みずからの指揮、指導というものをして、そして、政倫審に積極的に出て、君、説明しろよということを行政の長としてやってほしい。このことはぜひ申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、幾つか通告に従って質問も続けてまいりたいと思いますが、まず、北朝鮮の拉致問題等の特別調査ということについてお聞きをしてまいりたいと思っております。

 午前の議論で自民党の河村議員からこの質問というのは多少出ましたけれども、まだ詳細、総理も報告を聞いていないという段階でありましょうから、中身については、これは今お聞きをしても恐らく御答弁をいただくことはできないだろうというふうに思っております。しかし、今後の方針等々、総理にぜひ今後の見解というものはお伺いをしていきたいと思っているわけであります。

 まず、今回の政府代表団の訪問の最大の目的、これは、我が国、日本が北朝鮮との関係においては拉致問題が最優先ということをしっかりと伝えていくということ、これは総理もおっしゃっておられますけれども、このことは、総理としては、行くに当たって調査団には明確に指示をされたということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 この再調査に当たって、いわば今まで閉じられていた日朝の交渉の扉を開くに当たりまして、日朝で合意をしているわけでございますが、調査の対象として拉致被害者、あるいはまた日本人妻、そして日本人の遺骨の問題等々があるわけでございます。その中で我々は拉致を最優先しているということを実際にこの調査をする責任者に直接伝えなければいけない、こう考えたところでございます。

 先方は、夏の終わりから秋にかけて報告をするということでありましたが、先般、宋日昊氏と会談をした、局長が会った際には、残念ながら、まだ報告がほとんどなかったと。かつ、宋日昊氏自身はこの調査にかかわっていないので、いわばさまざまな質問をしても当を得た回答を得られないという状況の中で帰国をしてきたわけでございます。

 そこで、そういうことはけしからぬといって打ち切るという考え方もあるわけでありますが、そうなればまた、これは再開まで数年間待たなければいけないということにもなってくるわけでございまして、そこで行かないという選択肢のリスクとの関係の比較をした中において、我々は、今回は行って、残念ながら、そこで、誰々が生存している、この人は帰すという回答を得ることは今回は不可能ということは我々も承知をしているわけでありますが、特別調査委員会の責任者にしっかりと、我々の考え方、つまり、拉致問題が最優先であるということ等を直接伝えていくことに意義が、意味があるだろう、こう考えたところであります。

 同時に、かつて北朝鮮側が日本に伝えてきた八名死亡の方々の資料、先方が出した資料というのは、これはそれぞれ疑問があるということで、たくさんの疑問点を北朝鮮にぶつけてきているところでございます。あのときの立場はもう白紙に戻してということを今までも言ってきたわけでありますが、それを改めてしっかりと向こう側に伝えるとともに、こうした疑問点について直接トップにしっかりと伝えてこようということ等が今回の目的であった、こういうことであります。

 いずれにいたしましても、この問題の解決のためには、北朝鮮側が誠意を持って正直に全てを日本側に伝えてくることが絶対的に必要であるということでございます。

中田委員 今お話にもありましたように、五月の二十八日の日朝政府間の協議、この合意の中においては四つあるんですね。邦人遺骨と墓地、墓参、残留日本人について、いわゆる日本人妻について、そして、何よりも我が国において最優先というふうに、これは総理も、また私たち全員が認識をしている拉致被害者及び行方不明者、この皆さんのきちっとした調査結果を求めていく、この四つが、いわば我々の、五月の二十八日に合意をした内容だと承知をしています。

 そうした中において、もう総理も御案内のとおりで、家族会や拉致議連からは、今回の訪朝ヒアリング、このことについてはかなり否定的な意見も出されました。拉致問題はそもそも外交事あるいは交渉事ではない、これはもう誘拐なんであって、拉致なんであって、そういう意味では、これは救出する、奪還であるということを考えれば、外務省が先頭でいいのかという話もありました。警察であるとか、あるいは、もうこれは完全に政治ということであれば、政治の任用によるこちら側の責任者が行くというようなこと、あるいは交渉に当たるというようなこと、こうしたことも話としては出てまいりました。

 ここら辺の、さまざま、今回行くべきではないという意見もあった中で、総理が、行って、中断させてはならないんだというふうにおっしゃったわけでありますけれども、今申し上げたような声を受けとめて、今後どういう報告を期待しているのかということをお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は、家族会の皆さんの御心配については痛いほどわかります。

 なぜそういう御心配をされるかといえば、これは二〇〇二年にさかのぼるわけでありますが、当時、外務省が国交正常化をいわば最優先させたのではないかという大きな、私もそういう疑いを副長官ではありながら持っていました。拉致問題を横に置いておいて正常化を行ってしまう、そうなれば、日本から、いわば戦後の補償、大きなお金が流れていくわけであります。そうなってしまっては私は二度と解決はできない、こう思っていたところであります。

 つまり、そういう意味においては、今の外交方針ははっきりしているわけでありまして、まずこの拉致問題を解決していくということが最優先になっている。

 今回も、さまざまな調査対象が、今おっしゃったようにあるわけでありまして、その中で拉致問題が埋没化していくのではないか、ほかの調査はちゃんとやっていますよということを北朝鮮がアピールすることによって、その中で日朝の交渉がどんどん進んでいくんではないかという御懸念も持っておられたんだろうと思いますが、私も、次世代の党の平沼代表を初め、与野党の責任者の方々にもお話をさせていただきました。また、山谷議員が家族会の皆様にも私の考えを説明したところでございますが、最終的には、安倍さんを信頼しているので任せます、しかし、しっかりと最終的に結論を出すべく全力を傾けてもらいたい、こういうことでございました。

中田委員 約束が日朝間で取り交わされてから四カ月が経過をしています。調査をしているといういわば期間がそれだけ経過をしているというわけでありますけれども、今回、既にきのう、伊原さんが、報告とはならないかもしれないというふうに発言をしていますけれども、報告はそもそも夏の終わりから秋というふうに北朝鮮側は言っていたわけであって、報告の時期というものをきちっと日本側から区切るべきではないですか。その点について、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 我々、基本的には、一年以内ということで合意をしているわけでございます。その中におきまして、第一回目の報告を夏の終わりから秋の初めということで決まったところでございます。

 御承知のように、我々は、今、一部は解除しておりますが、その一部の制裁を行っていたときは各国と比べてもかなりきつい制裁をかけておりまして、という中において、なかなかこれ以上の手段というのがない中において、我々はできる限りの圧力をかけてきたところでございます。そうしたこともございまして、やっと扉が開いた。また、国際環境が変わっているということもあるわけでございます。

 ここで、では、期限を区切ってしまって、いついつまでにということを、この一年からさらに短く切るかどうかということは、これは今ここで申し上げることはできないのでございますが、我々も、交渉を進めていく上においてはさまざまなことを当然考えていかなければならない、このように思っております。

 まずは、伊原局長が今夕帰国をいたします。北朝鮮でございますから、それまでに例えば電話連絡等で報告を受けるということもできないわけでございますから、まず、帰国後、報告を受けたい、このように思うところでございます。

中田委員 この調査開始に伴って、日本側は三つの制裁を解除しました。人的往来、お金の流れ、それから人道目的の北朝鮮船籍の船舶の入港、こういったことについての制裁を解除しました。

 そこでお聞きをしたいんですが、今回、やはり北朝鮮が不誠実な対応であった場合、制裁をいま一度発動すべきだ、こう思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、交渉の渦中でありますから、明確な答弁は差し控えさせていただきたいとは思いますが、この制裁というのは、かつて、二〇〇二年の状況、二〇〇四年の四月までの段階では日本独自の制裁というのは事実上ほとんどできなかったのでございますが、日本独自の制裁をやるための法律をつくるべきだとずっと主張してきたのは私であります。法案をつくる上においても、各党の協力を呼びかけて、私も主導した一人であるという自負を持っているわけでございまして、その制裁を本格的にかけたのも安倍政権のときでございました。

 そういうことも踏まえながら、当然、北朝鮮側も交渉してくるのではないか、このように考えているところでございます。

中田委員 当然、北朝鮮が不誠実であるという場合には制裁をまたやるということは考えているわけですよね。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、明確に我々が今何をやるかということについては、申し上げるのは控えさせていただきますが、我々にはさまざまな、今は選択肢があるということでございます。

中田委員 さまざまな選択肢があるということでありますから、どうにもこうにも北朝鮮が不誠実であるという場合は制裁をまた考えるということも含まれるということですよね。

安倍内閣総理大臣 ここは、まさに交渉をこれからも進めていかなければならないという局面でございますので、我々も慎重に言葉を選んでいるところでございますが、今まで私がとってきた立場等を当然北朝鮮側も考慮に入れながら、今までも、またこれからも対応するのではないか、このように思います。

中田委員 拉致被害者の会の家族の皆さんも含めて、やはりそういう場合は制裁をいま一度するべきであるという論は、これは強いわけであります。

 既に、行動対行動と言っていたのが言葉対行動になりかかっているんじゃないか、向こうは言葉だけだ、こういうふうにも思い始めているわけです、我々も。

 その意味においては、今総理がおっしゃった、私がこれまでとってきた行動、このことをこれからも、こういうふうに今発言があったわけですから、それは制裁をまたやるということもあるという理解をしてよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 理解は委員がされることでございますが、いわばまさに交渉においては、我々がどういう対応、何をするかということが向こう側が明らかでないということも一つの交渉の力になるわけでございますので、そこのところはこれ以上は控えさせていただきたい、こう思うところでございます。

中田委員 理解をいたしました。それはしっかりと、その際には制裁を再び発動することもあり得るんだというふうに、十分に先ほどの答弁でも理解はできましたけれども、御本人からより明確にしていただきたかったとは思います。

 ただ、総理、一つだけ、これも御所見をお伺いしておきたいと思うんですが、私の内閣で全面解決に向けて全力を尽くしてまいります、こういうふうに繰り返し総理はいわば決意を語っているわけでありますが、これはもちろん総理一人の責任ではありません。そして、総理のその決意というものは、ひとしく皆意識をし、家族会の皆さんも含めて信頼をしているわけでありますけれども、余りもうこのことはおっしゃらない方がよろしいかと思うんですね。北朝鮮はやはり足元を見ますよ。総理が、自分の内閣で何とか解決と言えば言うほど、そこはじらしますよ。

 先ほど総理が、国際環境も変化しています、こうおっしゃいましたけれども、総理の環境も変化しますね。総選挙も近くなるとか、毎日毎日それは近くなっているに違いないですよね。そして、こうやって、スキャンダルだ、やれ何だ、支持率がやれ何だ、こういうのもありますね。さまざま、環境の変化というのは必ず出てくるわけです。

 総理の決意はそのとおりでありますけれども、足元を見られて向こうにじりじりじりじりやられてもだめ。これは、誰が内閣を次に引き継ごうが、この問題は普遍的な、我々の優先順位としては最優先ですよ。

 そのことをむしろ私は言っていくべきで、総理が決意としておっしゃっているのは十分理解しますけれども、余りもうこれ以上おっしゃらないで、どんなになったって日本はこの件については絶対に許さない、必ず救い出す、このことをむしろ総理はおっしゃっていくべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それはまさにおっしゃるとおりでありまして、残念ながら安倍内閣で解決できないということになったとしても、日本の基本的な姿勢、しっかりと圧力に重心を置いた対話と圧力の姿勢は変わらないわけでございます。ここは大切なところなんだろう、こう思うわけであります。

 ただ、私が、安倍内閣の中において解決をしたい、こう申し上げたのは、拉致被害者の御家族の皆さんがだんだん御高齢になる中において、もう時間がないという思いの中で、何とかしてもらいたい、こういうことでございますから、拉致被害者の方々にも、私も長い長いおつき合いでございますから、私の政治生命もかけるとの思いで何とか解決をしていかなければならない、こう強く決意をしているところでございます。

 もちろん、外交交渉でありますから、足元を見られないようにしていくというのは当然大切なことでありますし、困っているのは北朝鮮側なわけでありますから、我々は別に、冬が来ても、国民が飢えるという状況にはなっていない。そこは、制裁がきいているからこそ、北朝鮮は対話を求めていく。

 そして、北朝鮮の未来は、我々が求めていることに対応していく、国際社会の要求に対応していくしか道がないわけでありますが、そこを完全に指導者が理解をするということにならないとこの問題は解決はしないということではないか、このように思います。

中田委員 時間も残りわずかでありますから、もう一つだけお聞きをします。

 日韓議員連盟が、先週でありますか、韓国を訪問しました。朴槿恵大統領と超党派の我が国の議員が面会をしたということでありまして、そこで、議員連盟のカウンターパートである韓国の国会議員と共同声明を出しています。これは十月の二十五日土曜日のことであります。

 その中に、日中韓三国共同教科書の実現ということがあったり、永住外国人に地方参政権を付与する法案の実現に向け、日本側は一層の努力をするという文言があったり、これが日韓の議員同士の間で共同声明として出されているわけでありますけれども、これはとんでもない話じゃないですか。

 これは安倍総理、どのようにお考えになられますか。

安倍内閣総理大臣 これは超党派の議員連盟であると承知をしております。超党派の議員連盟でありますから、その議員連盟の責任において韓国側の議員連盟と対応しているのであろう、このように思います。

 政府として、その議員連盟同士の合意等についてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

中田委員 それでは、一般論としてもこれはお聞きをしておきたいと思いますが、参政権であります。

 憲法第十五条に、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」というふうに参政権そのものの定めがあるわけであります。当然ですけれども、参政権というのは、国、地方の選挙、これは選挙における選挙権、被選挙権ということであって、憲法において国民のまさに固有の権利というふうに、先ほどの条項というものはしっかりと明記をしているわけであります。

 そういう意味では、国民ではない者に付与するものであったり、さらには、これを分割して付与するというようなものではないというふうに思います。そのとおりですよね。大臣席で皆さんうなずいていただいているわけであります。

 ですから、一般論として、これは今の議連の話はおいておいて結構でありますけれども、国民固有の権利、それが参政権であって、これを分割したりするなど、こうしたことは考えられない、日本の国籍を有していない国民以外の人が参政権というものを持つことはあり得ないということで総理は当然お考えだと思いますし、これまでもそのように御発言をされてきたと思いますが、改めて確認をしておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 憲法十五条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」このように明文規定があるわけでございます。

 外国人への地方参政権の付与の問題については、民主主義の根幹にかかわる大きな問題でありますので、各党各会派においてしっかりと御議論いただくことが必要であると考えております。

中田委員 この点、間違いのないようにしっかりとして、かじ取りをお願いしたいと思います。

 以上で終わります。


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