山田宏先生衆議院予算委員会質問(平成26年7月14日)
山田(宏)委員 次世代の党の山田宏でございます。
きょうが次世代の党にとりましては最初のデビューということになりますので、よろしくお願いを申し上げます。(パネルを示す)
さて、日本維新の会が分割され、私たちは、今掲げる三つの理念を大事にする政党をつくろうということで、自立、新保守、次世代ということで、次世代の党の名前は、英語で言った方が早いんですけれども、ザ・パーティー・フォー・フューチャー・ジェネレーションズ、将来の世代のための政党ということであります。
我々、この三つの理念はどう関連しているかというと、やはり、日本再生の道は、福沢諭吉が言うように、一身独立、一国独立だ、この精神を大事にした国づくりをしようということで、自立というものを掲げています。個人が自立すること、地域も自立していくこと、国家としても自立していくこと、そういう国づくりを目指していこうということであります。
しかし、自立、自立といっても、そう簡単ではありません。私たちはやはり、まず日本の国柄、伝統、文化、長い歴史に培われたこういったものを大事にする、または過去に感謝をすることから始めなければいけない、こう思っております。過去に感謝をすることを通じて、過去に感謝ができれば、将来への責任感が湧いてきます。ああ、昔の人がこうしてくれたから今があるんだな、そうしたら将来はこうしていこう、こういう将来への責任感が湧いてくる。将来への責任感が湧いてくる、これを次世代のためにと言うんですが、そして、将来への責任感が湧けば、今度は今の時代ですね、今の時代の我々に力がみなぎってくる、こういう形になっているわけです。
過去への感謝があり、将来への責任感が生まれ、そして現在の我々の世代が力を発揮できる、これが私は人間社会というものだと思うんです。これらを大事にした国をつくっていこうということであります。
ですから、国としても、過去への感謝というものが生まれやすいような国づくりをしないと、どうせこんな国に生まれたんだということになれば、唾は吐くし、落書きはするし、治安は悪くなるわけです。
そういった意味では、自国の歴史の負の部分を殊さら強調して、正の部分というものを過小評価して、日本をおとしめるような歴史を子供たちに伝えてはならないと思うんですね。
ましてや、時の権力者が、事実ではないこと、事実と確認されていないことを、当時の外交状況の中で我が国のうその歴史をつくり上げていくということについては、断固として我々は反対であります。
そういった中で、河野談話の問題について、まず取り上げたいと思います。
河野談話につきましては、私が二月の二十日に石原信雄官房副長官へ御質問をさせていただき、政府として、この作成過程についての検証結果を報告するということで、約束を果たしていただきました。ありがとうございました。
そして、報告書を読ませていただきました。
この報告書によると、この報告書が出た後、当の河野元官房長官はいろいろなところで、テレビにお出になり、新聞のインタビューにも答え、そして、安倍総理の地元でもある山口市にも行って講演をなさいました。その中で、政権が談話を継承する以上、それ以外の発言は不規則発言だと総理がはっきり言わなければいけないと。不規則発言、私も不規則発言なんだ。やじなんだ、これは。
冗談じゃないですよ。本当のことを言ってやじ呼ばわりされたらとんでもない、こう思うんですけれども、この発言、総理はどう受けとめられますか。
安倍内閣総理大臣 私自身、河野元総裁の発言を確認しているわけではございませんが、今回、山田委員が石原信雄元官房副長官に質疑をされたものを受けて我々は検証したわけでございまして、河野前総裁は、あの検証について足すものも引くものもない、このように述べられたということは承知をしております。
山田(宏)委員 その検証報告書の中で、一番これは、私は、この報告書を正しいと河野さんがおっしゃっておられるならば、やはり断固として解明しなきゃいけない問題があります。
それは、この検証報告書の中では、この河野談話ができる過程の中においては、政府は、官憲による全般的な強制性、または強制連行などというものはなかった、確認できなかったということを前提に、ぎりぎりの交渉をしていたんですよ。私はあの河野談話を認めませんけれども、しかし、ぎりぎりの交渉の中でできた妥協の産物なんですね。
ところが、強制連行を認めないというふうなスタンスで徹底的に事務局が頑張ってああいう形になったわけですけれども、そのことについて、発表した一九九三年の八月四日、河野談話の発表の日に、河野官房長官は、これはこの検証報告書に書いてありますから質問しますけれども、「同日行われた記者会見に際し、今回の調査結果について、強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、「そういう事実があったと。結構です」と述べている。」これは、河野さんも述べたということを後で確認しています。
これまでの談話は、強制連行はなかった、確認できなかったということを前提に、それなりにつくられたわけですけれども、それを、発表の当日、その当の本人が、強制連行はあったと。なかったとしていたものを、何で本人の意思で、あったなどということが言えるのか。これは絶対に本人に聞かなきゃわからないことなんですよ。そうですよね。
なぜ河野さんが、なかったものをあったというような発言をされたと思いますか、官房長官。
菅国務大臣 私の立場で答えることは、これはできないというふうに思います。
現に、山田委員がこの予算委員会の中で質問されて、石原当時の事務方の責任者が、強制的に募集することを裏づける資料はなかった、あるいは、その十六人の慰安婦の方、証言の事実関係を確認した裏づけ調査というものもなかった、さらに、日韓の間で何らかのすり合わせがあったんじゃないかという話もされました。
そして、最終的にこの談話によって一応決着をして、少なくとも韓国政府はこの問題を再び提起することはなかった。当時はよかったんでしょう。しかし、時間がたって、またこういう問題が提起されることについて、本人は、日本の善意というものが生かされていないということを非常に残念に思っている、表現はこうであったわけですね。
それを踏まえて、山田委員から、当時の談話を検証するようにということで、政府として検証させていただいたんです。
そして、今回の検証の中で......(山田(宏)委員「もっと短くお願いします」と呼ぶ)ぜひこれは聞いていただきたいんですけれども、今言われましたように、強制連行は確認できないという認識に立ち、それまでの調査で判明した事実関係をゆがめることのない範囲で交渉した、そこも確認をされている。
そして、私たち、第一次安倍政権の際に、政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった。ここはもう既に閣議決定をしていることでありますから、政府としてはなかったということを、河野発言が、会見の中でそういう発言をしていますけれども、政府としては、閣議決定の中で、強制連行はなかったということを既にもう閣議決定をしているということの事実が全てだと思います。
山田(宏)委員 河野談話がただ一つの、二十万人のアジアの少女たちを強制連行して日本軍の性の奴隷にしたという根拠なんです。これが根拠なんです。これが根拠で今ずっと言われているわけです、世界じゅうで。しかし、河野談話の中には強制のキョの字の文句もないんです。それを発表した本人が強制連行ということはありましたということを言っちゃって、それがスタートとなって今のこの状況になったんじゃないですか。
幾ら政府がそうやって後から否定したって、今の状況は、河野さんがなぜありもしない強制連行があったと発言したのかというのを聞かないと、この言葉が原点になって、河野談話の解釈が韓国側からされて、そして、性奴隷になっているんですよ。ここが問題なんです。これを何とか、私は、河野さんに伺っていかなきゃいけない、こういうふうに考えているんです。
今日の性奴隷の全ての原点は、この重大な河野官房長官の一九九三年八月四日の発言にあるということは、今回のこの検証結果の報告書でも明らかじゃないですか。
この点についての総理の御見解を求めます。
菅国務大臣 いずれにしろ、河野元官房長官を国会に招致するかどうかということは、ぜひそれは国会で決めていただく話だというふうに思います。
山田(宏)委員 国会に呼んでほしいと言っているんじゃないですよ。官房長官が出した、政府が出したこの検証報告書の中に矛盾する内容が書かれていて、それが根本となって、今日の日本の不名誉になり、海外にいる日本人が、または日本の子供たちが肩身の狭い思いをして、毎日のようにそのことを恐れながら、時には泣いたりしているんじゃないですか。
官房長官の検証報告書は、これは本当にすばらしい一歩だと思いますが、その中で、この河野さんの発言によって今日の性奴隷発言につながっているんだから。
河野談話そのものは強制のキョの字も書いていなかったんです。その解釈を明確にしたのは河野さんの発言なんです。現在のこの問題で安倍内閣がすごく苦労されているのは、河野さんが原点じゃないですか。
このことについてどうお考えなんですか。検証レポートを出した政府としてお答えください。
安倍内閣総理大臣 検証については、まさに今、山田委員が指摘をされたとおりでありますが、石原元官房副長官との議論を踏まえ、我々は政府として検証をまとめさせていただきまして、当委員会に提出をさせていただきました。この中で、河野官房長官が記者会見において今御指摘のような発言をされたということであるわけでございます。
いわば、その中において、政府のチームが、河野談話を作成してきたチームの認識とはやや異なるという印象を当時チームとして作成してきた人たちも持った、河野さんの発言に持ったようでございますが、どのような認識で河野当時の官房長官がそうしたお答えをされたかということについては、私は承知をしておりません。
山田(宏)委員 私は、安倍総理も私も同じ気持ちだと思うんです、こういったことに対しての憤りは。ですから、安倍総理を追及するテーマではないのです。これは、御本人がここへ来てもらって御説明してもらわないとわからないことなんですよ、このことだけは。
私は、今回、この衆議院予算委員会にかかわって、この河野洋平元官房長官の参考人の招致を要求いたしました。しかし、自民党側から、このことについては前例がないのでだめだという回答を受け取りました。
しかし、前例、前例と言っていたら何も変わらないわけです。河野さんは、実際、さまざまな新聞、さまざまなテレビ、さまざまな会場に行ってこの問題について御発言なさっているんですね。本来は、やはり御本人が、国会に出て話させてくれ、または、もしかするとお話しになりたいかもしれないんですよ。それを、自民党側の判断だけで河野さんを呼ばない、こういうような判断というのは、私は承服しかねます。
自民党は日本を取り戻すと言って選挙をしたんじゃないですか。これも取り戻してくださいよ、日本人の名誉のために。
私は、そういった意味で、今回の検証の取りまとめ、これは大変評価をしています。この点で、特に今の点ですね、河野さんが勝手にひとりで強制連行を認めてしまったという、この点を初めて明らかにしたのがこの検証報告書です。これはもう本当に正しいことだったと思います。
そして、その検証報告書を出した責任を果たすために、総理は、河野さんが何らかの形で国会に来てそういった御説明を果たすべきだと政治家としてお考えになりませんか。普通だったら、この検証報告書を見たら、やはり私は、時の総理としては、じくじたる思いだと思うんですよ。このじくじたる思いというものを私は共有していると思うんですけれども、どうお考えでしょう。
安倍内閣総理大臣 河野当時の官房長官がどういうお考えで記者会見で発言されたかは私も承知をしておりませんが、委員会において参考人として河野元官房長官が出席をするか否かについては、これは、私は自民党の総裁ではありますが、ここに立っておりますのは総理大臣として立って、行政の長として立っているわけでございますので、それはまさに当委員会において、国会においてお決めいただきたい、このように思います。
山田(宏)委員 それはわかっているんですね。政治家として、じくじたる思いはないですか。
安倍内閣総理大臣 政治家というのは日々、総理大臣でありますから、行政を行う中においては、これは思いどおりにならないものの連続でありますが、その中で最良の結果を出していくために何をすればいいかということをいつも考えているところでございます。
山田(宏)委員 この思いどおりにならない点は放置しておいたらだめだと思いますね。
この問題は、御本人しか説明できないんです。御本人にもし何かのことがあったり、誰でも人間はどこかで生命を、有限ですから、そうしたら、誰もこの問題について発言できないまま、河野談話というものはいわゆる強制連行を認めたものだ、本人も言ってきたじゃないか、政府もその検証報告を出したではないか、そして何も言わなかったではないか、何もしなかったではないか、検証してそれが明らかになったのに何も手を打たなかったではないかと。こうなってしまったら、いつこの事態が起こるか、私は非常に心配なんですよ。
その前に何とかしなきゃと言っているときに、私は今総理大臣ですから、私は立場上とか。それは確かに国会で決めることです。しかし、私は、やはりこの歴史の中に生きる一人の政治家として、安倍さんに期待しているんですよ。安倍さんしかできないんですよ、これは。多分、かわったら無理ですよ。
ぜひ、安倍総理の間に前進をさせてほしい、この検証問題が、検証結果が安倍総理のときに放置されたということのないようにお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
安倍内閣総理大臣 今回のこの報告書については、まさに山田委員と石原参考人との間で議論がなされ、そして、どういう状況において交渉がなされていたのか、あるいは強制連行との関係においてはどうだったのか、そして日韓関係を将来どのようにしようと考えていたのかということについて議論が行われたわけでございますが、そこで、実際に日韓であらかじめ打ち合わせはしていなかったのかどうかということも含めて、今回、検証をさせていただき、提出をさせていただきました。
このように、さまざまな課題についてはしっかりと国民の皆様に、どういう経緯であったかということについても、今まで秘密とされてきたものについてもお示しをしていくことは、必要とあればお示しをしていくことは私たちの責務であろう、このように考えているところでございます。
山田(宏)委員 これはテレビで放映されていますから、河野さんもお聞きになっていると思いますが、言論の府の最高責任者を一番長くお務めになられました。桐花大綬章という立派な勲章もお受けになりました。
私は、ぜひ、ここまで、自民党の中にもいろいろな意見があると私は承知しておりますが、ここはやはり、河野さん御本人が、言論の府の責任者をやった責任者としても、国会という最高の府で、みずからが長をおさめたこの府で、きちっとしたお話をしていただきたい。そして、その内容を、どんな内容でも、それは河野さんが経験されたことをきちっとここで証言なさってほしい。ずっとこの問題が続かないように、国会議長を務めたという自負を持って国会に出てきていただきたいと心からお呼びかけを申し上げます。
それでは、集団的自衛権について移ります。
今回、この集団的自衛権の問題は、我が次世代の党は、今回の政府の閣議決定を、これはいい閣議決定をされたというふうに、日本の平和と安全にとっても、それから地域の平和と安全にとっても、立派な御決断をされたというふうに我々は考えております。
これは、日本維新の会が四月十六日に、政府に先立ち、日本維新の会の考え方をまとめております。(パネルを示す)
これはちょっと字が小さくて申しわけないんですが、次世代の党と書いてあるものは、四月十六日、日本維新の会として発表したものですが、この内容、「「わが国と密接な関係にある国に対する急迫不正の侵害」があること」、そして「それが「わが国の平和と安全に重大な影響を与える」事態であること」、「侵害を排除するために他の適当な手段がないこと」、「合理的に必要な範囲の実力行使であること」、そして「1の要件を満たした国」、つまり同盟国ですね、「満たした国からの支援の要請があること」、先ほど国際法の説明がありました、「原則として国会の事前承認を要すること」。
お隣が政府の考え方ですが、ほとんど一緒です。我々は四月十六日に発表しました。
私は、今回の、日本を取り巻く周辺の環境を見たときに、どの国も、自分の国を自分で守れません。かつては、例えば例を出すと、地域の安全は警察官がいっぱいいて守ってくれたから、鍵だけ閉めていればよかったんですよ。ところが、警察官の数が減っていって、そしてだんだん危なくなってきた。そこで、近所同士が力を合わせて守っていこう、平和を維持していこう、こういうことをやっていく時代になったということです。これは集団的自衛権、これは自衛権ですから、みんなで一緒に守りましょうということは当然のことであります。
その中で、憲法九条がどこまで、これは、九条、憲法のもとでやらなきゃいけませんから、どこまで認められるのかという最小限の条件として出された、これが新三要件です。先ほどから御説明になっていますから、私は、その点についてはよかった、こういうふうに率直に評価はいたします。
しかし、何か政府の閣議決定を読んでいると、難しくてわからないんです。やはり、非常に読みにくい、わかりにくい内容だ、こう思っておりまして、もっと簡潔に、一枚にしてほしい、こう思います。
しかし、私が幾つか心配になることがあります。
一つは、これは憲法九条の解釈にかかわる閣議決定ですよね、集団的自衛権。解釈は変更したんですか、それとも変更していないんですか。二つに一つ、どちらでしょう。
安倍内閣総理大臣 今回の閣議決定における憲法解釈は、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえて、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意をし、従来の政府見解、これは昭和四十七年の政府見解でありますが、この見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものでありまして、これは、従来の憲法解釈の再整理という意味で憲法解釈の一部変更でありますが、憲法の規範を変更したものではないわけであります。
山田(宏)委員 要するに、憲法解釈の変更、一部であろうが。何でも一部ですから、全面的というのはなかなかないんですね。憲法解釈の変更を行ったということでございますね。
安倍内閣総理大臣 そうであります。
山田(宏)委員 そこで、法制局にお聞きをしたいと思うんですが、法制局がこれまで憲法解釈を変更する場合の要件を言ってこられました。
憲法解釈は変えてはならないというものではない、国際情勢やさまざまな諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮して検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であると認められると。
至当という言葉もすごいですよね。やはり、もうこれがばっちり、そのとおりでなきゃいけないという、一〇〇%という意味ですね。
至当であるという結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないものではない、こういうふうに言っているわけです。
法制局にお聞きしますけれども、今回の憲法解釈の変更というものに当たって、法制局としては、何か、いろいろな政府との交渉の中で、注意点とか留意点とか、こういうことをお話しになったことはあるんでしょうか。
横畠政府参考人 今般の閣議決定は、去る五月十五日に安倍総理が示された基本的方向性に基づく与党協議の結果を受けて取りまとめられたものであり、昭和四十七年の政府見解を基礎とし、その基本論理を変えないということで、これまでの憲法第九条をめぐる議論との整合性を十分考慮したものであって、憲法の基本原則である平和主義をいささかも変更するものではなく、解釈の変更として可能な範囲内のものであるというふうに理解しております。
山田(宏)委員 今回、解釈を変更したという、その事由に当たるというふうに判断した、これまで答弁されてきたように、従前の解釈を変更することが至当であるという結論に法制局が達した根拠をお伝えください。
横畠政府参考人 もとより、この考え方につきましては、今後さらに国会における御議論を経て評価されることになると存じますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたが、昭和四十七年の政府見解で示された基本論理の枠内におさまっている、すなわち整合性が保たれている、そういう意味で、解釈によって可能なものであるというふうに考えております。
山田(宏)委員 全然答えていないんですよ。そう考えた根拠をお知らせくださいと申し上げている。根拠。短く。
横畠政府参考人 それは、まさに新三要件で、その要件が明確に示されているということでございます。
山田(宏)委員 違うんですよ。私は法制局をいじめようと思って言っているんじゃなくて、法制局は、国際情勢、安全保障環境など諸情勢の変化とか、それらの要請、さまざまな新しい状況を考慮して、解釈の変更が至当と認めるときは解釈変更を認める、こう言ってきたんですよ。そうでしょう。その諸情勢をどう法制局として、どういうふうに考えたら至当だと認められたのかということを聞いているんです。
もっと言えば、ちょっと時間がないのでお話を聞いておきたいのは、やはり私は、法制局が諸情勢なんか判断できるわけがないと。そんな情報なんかないんだから。それは政府が一番できるんですよ。総理なんですよ、それは。でも、こうやって憲法解釈は変更できますよと一応形を格好よくつけているだけで、中は空っぽなの。
判断できないでしょう。解釈変更の前提となる諸情勢を法制局が判断できるんですか。その点どうでしょう。
横畠政府参考人 このたびの閣議決定は、憲法第九条のもとでも例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持し、この考え方を前提として、これに当てはまる極限的な場合は我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当たるとしたものであり、そのような場合があり得るということを前提にするならば、その意味で合理的な解釈であるというふうに認められるということでございます。
山田(宏)委員 まあいいや。多分、国民の皆さんはこれはわからないですよ、今ばあっとお話しになったが。
一点だけちょっとお聞きしておきます。集団的自衛権の八事例、これはクリアできるんですよね、今回の解釈変更で。
それからもう一つ、台湾有事、この場合についても、状況によったら集団的自衛権の行使はあり得るわけですね。この点だけ確認させてください。
安倍内閣総理大臣 集団的自衛権の行使については、これはあくまでも三要件に当てはまるかどうかということでありまして、この三要件に当てはまれば武力行使ができるということになるわけでありまして、個別的自衛権に対する三要件がやはりかかっていたわけでございますが、個別的自衛権においても、かつての三要件、古い三要件に当てはまるかどうかということで武力行使ができるかどうかということであったわけでありますが、今回は、集団的自衛権も含めて武力の行使は三要件ということになるわけでございます。(山田(宏)委員「台湾」と呼ぶ)
個別の事態について今つまびらかにお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、あくまでも三要件ということでございます。
山田(宏)委員 私からは終わります。